Carib DX Vacation J7 Dominica

                       J79KAC

 

はじめに

J7ドミニカからの運用実現に向けて準備していた99年秋、FAIRSの代表でドミニカ通のKK4WW Davidを知ることに
なる。そして、彼からいろいろな情報を得ようとやり取りしている間に、偶然にも彼らもまた同時期(20003月)に
ドミニカ行きを予定していることを知った。こちらが単独行動と知るや彼は、差し支えなければ手っ取り早く彼ら一行に
一部便乗してはどうかということになった。彼らにもまた欠員が出たようだ。
一足早くJ7入りしていたFAIRS一行に遅れ、
私は31日にJ6からFM経由でJ7に入った。後日、南米ギアナから8R1WD Peter も駆けつけてきた。

 

いよいよJ7から運用

我々の宿舎になるコーテージにFAIRSの第一シャックを設け、私は別に現地のクラブ局(DARC J73Z)がある建屋に
第二シャックを設置した。クラブ局には驚いたことに15mのタワーがあり、その上にTA3375/40mINV-V
上がっていた。しかも、ロケーションは町外れの高台に位置しJA方向は海で申し分ない。残念ながらローテータは
錆付いていて、ビームは北に固定だがJA向けには問題ない。全く予期せぬアンテナ設備に感激した。すぐに現地の
J73CI Clemと共に、持参した18/24メガ用HB9CVをそこに上げた。夕方ライセンスを受け取りにPTTへ。

翌日から本格的な運用を開始し、朝の7メガでJAが約100局、夕方の28メガでは3時間半で約500局とQSOでき、
何ともすばらしいコンディションだ。それから毎朝4時起床でクラブ局まで送迎してもらい、朝のローバンドと夕方の
ハイバンドをほとんどJA向け中心に運用した。途中10メガ用のANTを追加した事は言うまでもない。

特記すべき事は、3.8メガで聞いたS9オーバーのJA各局の強力な信号だろう。さらには、80mから10mまでWARC
含む全バンドのCW/SSBJAと交信できた事で、JAとの総QSO数は3,600以上とすばらしい結果に終わったことに
満足である。

どのバンドも設備とコンディションに助けられ、FAIRSメンバーや現地ハムには大変感謝している。

 

ドミニカの様子

ドミニカはカリブ海の中でもネーチャー・アイランドと呼ばれ、火山島で1,000m以上の山が連立しており、豊富な水を
近隣諸国にも輸出している。高山から海辺に向かい温帯から亜熱帯までの植物が生え、ちょうど日本の屋久島の
ような島で、まるで島全体が植物園のようである。そこには日本では珍しいコーヒー、ニーム、シナモンなどの木が生え、
多種多様な花が咲き乱れている。コーテージの周りではハミングバード(蜂鳥)が飛び交い、庭先で取った完熟の
グレープフルーツやグアバのジュースの味はまた格別だ。

しかし、ドミニカはカリブ海諸国で最も貧しい国の一つだ。プエルトリコと南米のちょうど真ん中で、地理的に西洋文化
から遠かった。また、この島は平地が少ないため、昔統治国の英国はここに投資せず長い間放置されたのだ。
結果、工業らしきものは無く島全体が自然のまま残った。今でもドミニカ共和国と間違えられ、時々国際郵便が
そちらに送られてしまうそうである。

日本の屋久島は世界遺産に登録され保護されているが、ここドミニカもまたそれに値するように思えた。

 

島の命綱

島の電話回線は一部を除きまだ整備されておらず、緊急時は全てアマチュアのリピーター網が活躍している。
これらリピーター設備は、島の主要4ヶ所の山に設置され、ソーラーパネルにより電源をバックアップしている。
このリピーター網は、政府も公認しているが財政的なサポートはされておらず、メンテナンス等は全て地元DARC
クラブ員がボランティアで行っている。私もメンテナンスに参加し1200mの山に登ってきた。ちなみに、これら設備の
ほとんどはFAIRSから援助されたものである。

FAIRSは、米国バージニア州に本部のある非営利のボランティア団体で、世界でまだ国際的な援助を必要として
いる国や地域のハムに対し、そのアクティビティーを上げることを目的として運営されている。この中には、無線機材や
資料の供与、技術的なトレーニングのみならず、時には食料、衣類や薬、通信網の確立等が行われ、現地のハムを
通してその国や地域への貢献度は非常に高いものである。現在まで、中南米、旧ロシア諸国、中国、東南アジア等の
国々や地域で活動してきた。

一番の問題は、それらプロジェクトの維持やメンテナンスだ。現地にある設備の維持やハムの知識向上がなければ
一時的なもので終わってしまう。このため、FAIRSはメンバーを定期的にこれらの国や地域に送って見守っているのだ。

私も、ドミニカへの訪問がきっかけで、非力ながら今なおこのFAIRSのメンバーの一員としてサポートしている。

 

                                        de JA7KAC/JA1ADT


現地のクラブ局J73Zに早速18/24Mhz用
HB9CVを上げる。
これがJA方向だ。小高い丘の上でロケーションは良い。
クラブ局は町外れにある。今回はここから運用した。
15m高のタワーにはTA33と75/40m用のINV-Vが
上がっている。下のWARC用HB9CVは持参したもの。
首都ロゾーを見下ろす丘の上にコテージがあり
抜群のロケーションだ。
コテージのシャック。
左からKK4WW David,KE4UGF Donと共に。
地元クラブの会長J73CI Clemと運用シャックにて。
彼には大変お世話になった。
コテージに上がったDavid力作の
グラスファイバーの八木。
地元のClement夫妻(J73CPL,J73HPL)が我々を
訪れた。彼女の料理はすばらしく美味しかった。
首都ロゾーのダウンタウン。軒先で地物の
野菜を売っていた。
行商か、頭に荷物を載せて運ぶのはアフリカから
受け継がれている?
1200mの山頂にあるリピーターのメンテナンスに
出かけた。眼下は首都ロゾー。
山頂でソーラーパネルを点検中のJ73CI Clem。
昔、台風で倒れた木に押しつぶされたバスが
そのまま残されていた。
J7のライセンス申請をしてくれ、空港まで送迎して
くれたJ73MBQ Rogerと。お礼にHB9CVを残した。
コテージのシャックにて。ここから運用した3.8Mhzでの
JAの信号は強力だった。
J73CPL Clementの自宅シャックにて。
彼は警察官だ。
8R1WD Peterが到着し、歓迎の昼食会を催した。
島内ツアーで 左から
KK4WW David、8R1WD Peter、J73CI Clem
JA7KAC Koh
コテージから南を望む。花が咲き乱れ、
ハミングバードが飛びかう。まさに楽園だ。

戻る